阿部将一のブログ

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【安倍晋三さんの国葬】菅義偉さんの弔辞にとてつもなく感動した

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昨日2022年9月27日、元総理大臣・ 安倍晋三さんの国葬が行われた。国葬については賛否あると思う。 僕自身も強くは反対しないが国葬は必要ないと思っている。 安倍さんの総理大臣連続在任日数2822日、 第1次政権を含める通算在任日数は3188日と、連続・ 通算期間ともに憲政史上最長で、間違いなく歴史に残る政治家だ。

 

しかし、国際関係は良好に保ったが実績がパッとしない。 実際には様々な功績があるが国家行事である国葬で弔うほどなのか?と思う。とはいえ、国葬実施が決まった以上、総理大臣を長く務めた方だし静かに見送りたいと思っている。できれば一般献花に行きたかったが、時間が限られていたので無理だった。あらためて、ご冥福をお祈りします。

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さて、その国葬では、過去に安倍さんの参謀として内閣官房長官を務め、その後、 総理大臣を務めた菅義偉さんが、友人代表として「追悼の辞」 を述べた。その内容は隅から隅まで感情がこもった、 あまりにも感動的な文章なので、ぜひ全文を読んでほしい。

菅義偉前首相「追悼の辞」全文 安倍晋三元首相の国葬: 日本経済新聞

“7月の8日でした。信じられない一報を耳にし、とにかく一命をとりとめてほしい。あなたにお目にかかりたい、同じ空間で同じ空気を共にしたい。

 

その一心で現地に向かい、 そしてあなたならではのあたたかなほほえみに、最後の一瞬接することができました。あの運命の日から80日がた ってしまいました。“

 

「あなたにお目にかかりたい、同じ空間で同じ空気を共にしたい」

 

この言葉は、 安倍さんが亡くなった直後に菅さんが出演されたテレビ番組でも発せられた言葉で、とても印象に残っている。

なぜ菅さんはそこまで安倍さんを敬愛していたのだろうか? その理由をうかがわせるエピソードが菅さん自ら語られていく。

 

“あれからも朝は来て、日は暮れていきます。やかましかったセミはいつのまにか鳴りをひそめ、高い空には秋の雲がたなびくようになりました。

 

季節は歩みを進めます。あなたという人がいないのに時は過ぎる。 無情にも過ぎていくことに私はいまだに許せないものを覚えます。 “

 

と、 安倍さんがいなくなってから月日が無情にも流れていることを情緒的に語りながら、

 

“2000年、 日本政府は北朝鮮にコメを送ろうとしておりました。私は当選まだ 2回の議員でしたが「草の根の国民に届くならよいが、 その保証がない限り軍部を肥やすようなことはすべきでない」 と言って、自民党総務会で大反対の意見をぶちましたところ、 これが新聞に載りました。

 

すると記事を見たあなたは「会いたい」 と電話をかけてくれました。「菅さんの言っていることは正しい。 北朝鮮が拉致した日本人を取り戻すため一緒に行動してくれればうれしい」とそういうお話でした。

 

信念と迫力に満ちたあの時のあなたの言葉は、 その後の私自身の政治活動の糧となりました。“

 

と、昔を懐かしむ菅さん。

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このエピソードに僕は心を打たれた。 菅さんは、秋田のいちご農家に生まれ、 集団就職で東京にやってきて、 世襲ではなく実力で政治家として成り上がった人。一方、 安倍さんは大叔父に元首相の佐藤栄作さん、 父方の祖父に衆議院議員安倍寛、さん、母方の祖父に元首相・ 岸信介さんがいるという超エリート政治家一族の出身だ。 そんな世襲バリバリのエリート政治家で、 しかも2000年頃の当時は内閣官房副長官を務めるような大物政治家だった安倍さんが、 当選二度の政治家に対してサポートを願い出るなんて、 なんて柔軟な方なんだろう。そもそも、 自民党総務会で反対の意見を述べる菅さんもすごい。

そしてなによりも、 北朝鮮による日本人拉致問題は安倍さんが尽力した問題であり、 僕は安倍さんの最大の功績だと思っている。ただし拉致問題は完全に解決はしてないので、 安倍さんも悔やまれるだろう。 その安倍さんが生涯をかけて取り組んだ拉致問題のサポートに菅さんを誘ったかと思うと、安倍さんの菅さんに対する信頼も厚い。

 

拉致被害者の方々も国葬に出席したようで、このように述べている。

【安倍元首相国葬】「拉致解決へ尽力、感謝」被害者家族ら ブルーリボン、遺骨そばに - 産経ニュース

横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の母、 早紀江さん(86)は、「写真を見て、 いろんなことを思い出した。世界に(問題解決を) 言ってくれたので、(認識が) 大きく広がったことを感謝している」と述べた。「 残念でしようがない」と、非業の死への落胆も口にした。”

 

“支援組織「救う会」の西岡力会長は、「 家族会や救う会ができる前から、 拉致問題に関心を持ってくださっていた。”

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国葬では菅さんはさらに続けてこのように語る。

 

“そのまっすぐな目、信念を貫こうとする姿勢に打たれ、 私は直感いたしました。この人こそはいつか総理になる人、 ならねばならない人なのだと確信をしたのであります。 私が生涯誇りとするのは、 この確信において一度として揺るがなかったことであります。

 

あなたは一度持病が悪くなって総理の座を退きました。 そのことを負い目に思って2度目の自民党総裁選出馬をずいぶんと 迷っておられました。最後には2人で銀座の焼鳥屋に行き、 私は一生懸命あなたを口説きました。 それが使命だと思ったからです。

 

3時間後には、ようやく首を縦に振ってくれた。 私はこのことを菅義偉、 生涯最大の達成としていつまでも誇らしく思うであろうと思います 。

 

総理が官邸にいるときは欠かさず、1日に1度、 気兼ねのない話をしました。今でもふと一人になると、 そうした日々の様子がまざまざとよみがえってまいります。“

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「生涯最大の達成」とまで言うほどの安倍さんの総裁選再出馬。 この文章には菅さんがどれだけ安倍さんの力量に惚れ、 安倍さんを慕っていたかがうかがえる。

 

また、菅さんは「ここ武道館の周りには花をささげよう、 国葬儀に立ちあおうとたくさんの人が集まってくれています。20 代、30代の人たちが少なくないようです。 明日を担う若者たちが大勢、あなたを慕い、 あなたを見送りに来ています。」と語っている。

“ 安倍さんは若者からの支持が強く、国葬にも前向き” というのは事実だと思う。政治には興味はないが、 自分が生まれてから総理大臣は安倍さんだったと感じる若者も多い だろう。 朝の情報番組に出ているアナウンサーに親近感がわくように、 人は長く目にしている人に対して親近感がわく。 安倍さんが若者からの支持が強いというのは納得ができる。

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一方、 国葬が開かれている現場で大声を上げて国葬に反対するような人たちは高齢者ばかりで、 安倍さんとは真逆に若者から全く好かれてなさそうな人たちばかりで、偏見だがその差が哀れに思う。

“黙とうの時間に音を鳴らそう!”国葬反対派デモの呼びかけに「やりすぎ」「品性ない」と物議(女性自身) - Yahoo!ニュース

国葬では菅さんは他にも「我が国日本にとっての真のリーダー」 「難しかった法案を全て成立させた」「TPP参入を素早く判断し た」「すべてのスタッフたちが明るく生き生きと働いていた」「 強い日本を目指した」などなど、ポジティブな意見を述べていたが、 それらは正直、半信半疑で聞いた方がいいだろう。

若者の支持だって全体の3割から5割くらいが支持してるくらいで、 過半数じゃないと思う。「 すべてのスタッフたちが明るく生き生きと働いていた」 ことにしても、 森友学園の文書改ざん問題で自殺した男性職員のことを考えると、 間接的とはいえ「 すべてのスタッフたちが明るく生き生きと働いていた」 とは思えない。

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ま、それはそれとして、菅さんは素晴らしい言葉で「追悼の辞」を締める。

 

衆院第1議員会館1212号室のあなたの机には読みかけの本が 1冊ありました。岡義武著「山県有朋」です。 ここまで読んだという最後のページは端を折ってありました。 そしてそのページにはマーカーペンで線を引いたところがありまし た。

 

印をつけた箇所にあったのは、いみじくも山県有朋が長年の盟友、 伊藤博文に先立たれ、故人をしのんで詠んだ歌でありました。 いまこの歌くらい、私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。

 

かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ“

 

これは泣ける。 2人の偉大な政治家の友好関係を自分たちに重ねたわけだ。 そしてこの句の意味は、

 

「共に(日本の将来について)語り合い、 尽力した人ばかりが私より先に死んでいってしまう」

 

という意味らしい。 山県有朋さんにとっての伊藤博文さんの存在は、 まさに菅さんにとっての安倍さんの存在だったわけだ。 これまた泣けてしまう。

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そういうわけで、とても感動した菅義偉さんの弔辞なのでした。菅さんは明るい性格ではなく、ハキハキとしゃべる人ではないが、頭の良い人なので、また政権に帰ってきてほしいなと思う。

 

おわり。