阿部将一のブログ

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【ネタバレあり】『君たちはどう生きるか』のガチ感想

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【もくじ】

・序盤が予想通りだった理由

・タイトルの元になった小説との関係

・序盤が長すぎる

・「ルールがわからない世界」の良さ

・夏子、キリコ、久子、ヒミ

・本を読むことよりも大切なこと

・キリコ、どこ行った?

・『君どう』の評価は60点

・アニメーションがすごいとか、マジどうでもいいに近い
宮崎駿監督、本当にありがとうございました!

・事前情報がないからエンドロールが楽しい!

【追記】

・『君どう』は宮崎駿ジブリを表している!

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2023年7月14日、ジブリの新作・宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』が公開されたので見に行きました。主な感想はこの記事の通りです。

shoichi-abe.hatenablog.com

この記事ではネタバレなしで語ってみたんですが、今回はネタバレありで語ってみたいと思います!

まだ見てない人は事前情報がない状態で見た方が感動できると思うんで、この先を読むことはお勧めしません!

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先ほどの記事はざっくりと言うとこんな感じです。

・説教臭くはないw 安心して見て!
・予想通りの序盤と予想外の後半
・エンドロールにはビックリ!
・宮崎監督が自我を殺して作ったファンへの贈り物?
・最高ではないが、見て良かった

これをさらに深掘りすると、まず「序盤は予想通りだった」ということです。

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【序盤が予想通りだった理由】

宮崎駿監督の最後の作品として発表された前作の『風立ちぬ』。僕はこれこそが宮崎監督が描きたかった作品だと思ってます。宮崎監督の過去のコメントからも戦争や飛行機には強い思い入れがあるようだし、『風立ちぬ』の人間関係は濃厚で切ないです。それでも「生きろ」というへ強いメッセージが込められたこの作品は宮崎駿監督 純度100%の作品のように感じました。

なので、宮崎駿監督が最後に作るアニメとしたら『風立ちぬ』のような映画になると思ってました。実際『君たちはどう生きるか』の序盤は『風立ちぬ』のように戦争中の日本が舞台でした。だから僕は「やっぱりな」と思いながら見てました。

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主人公の少年・牧眞人は母親を火事で失って、戦争のために田舎に疎開することになります。そしてその疎開先では新しい母親・夏子が待っていました。

この時、明確に明かされてないのだけど、この新しい母親・夏子は眞人の実の母親を「お姉さん」と呼んでおり、妹だということをほのめかしている。亡くなった妻の妹を新しい嫁に迎えるなんて時代なのかなあと感じた。

眞人の父親は工場のオーナー?らしく、家も広く、離れで家族で暮らしいているようで裕福な家庭でした。お手伝いさんのおばあさんもたくさんいて、このおばあさんたちが『千と千尋の神隠し』の湯婆婆を思い出させてくれました笑。

そんな広い敷地の中に特徴的な一羽のアオサギがいます。これがポスターにもなっているキャラクターで、眞人を別世界に誘い込んでいました。

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【タイトルの元になった小説との関係】

そんな中、眞人は母親の直筆メッセージ入りの吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』を見つけます。ここでようやくタイトル回収なんですけど、その映画を見終わっても、この実在する小説がこの映画とどれだけリンクしているのかはわかりません。僕が読んでないので。

ちなみに、宮崎駿監督の前作『風立ちぬ』も堀辰雄さんによる同名の小説が参考にされているといいます。

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この本のあらすじを見てみると宮崎駿版とかなりリンクしていますね。

以下、Wikipediaより抜粋です。

"美しい自然に囲まれた高原の風景の中で、重い病に冒されている婚約者に付き添う「私」が、やがて来る愛する者の死を覚悟し、それを見つめながら2人の限られた日々を「生」を強く意識して共に生きる物語。死者の目を通じて、より一層美しく映える景色を背景に、死と生の意味を問いながら、時間を超越した生と幸福感が確立してゆく過程を描いた作品である"

なので、宮崎駿版『君たちはどう生きるか』も小説とリンクしているかもしれません。この小説のあらすじはWikipediaによるとこんな感じ。

"コペルというあだ名の15歳の少年・本田潤一とその叔父が、精神的な成長、貧困、人間としての総合的な体験と向き合う姿を描く。"とのこと。

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つまり、宮崎版も小説も成長物語なんですね。これは『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』と同じで、少年少女が世界の仕組みを理解して成長していくお話です。

ちなみに、この小説は2017年に羽賀翔一さんによって漫画化されて200万部の大ヒット作品になっています。僕はまだ読んだことがないので、読んでみようかな?笑

本題に戻ると、宮崎版『君どう』の主人公・眞人は母親から託された小説を手にする。この前には新しい学校でもめたり、新しい母・夏子と微妙な距離感があったりしていたけど、その理由は周りの人間と合わないというよりも実の母親が死んだことを受けきれないことによる怒り、悲しさだったのかもしれません。

しかし眞人はこの小説との出会いで一歩を踏み出し、母親の死や新しい母親を受け入れ、物語の終わりには人間として成長します。そういう意味ではこの小説は重要ですね。

【序盤が長すぎる】

そんなこんなで、眞人は謎のアオサギの招きで不思議な世界に入っていきます。ただ、僕が思うにここまでの前座が長すぎる。そう思った僕は映画館で腕時計の時間を見ました。開演から1時間も過ぎていました(たぶん)!

このあとの舞台である不思議な世界が面白いだけに、ここまでの引っ張りが長く少し退屈のように感じました。同じようなファンタジーである『千と千尋の神隠し』は、別世界に行くまでがもっと短かった気がします。だからこの前座は意味があったにせよ、もっと短くて良かったと思います。

【「ルールがわからない世界」の良さ】

で、眞人が入ってしまった別世界は、その世界のルールや名称がチンプンカンプンだったけど、だからこそ面白かった。まさに鑑賞者も別世界に入ったような感じで、ほとんど説明がないまま物語が進み、そのルールを少しでも理解しようと釘付けになります。そこには「不思議の国のアリス」のような面白さがありました。

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この「ルールがわからない世界」は人を新鮮な気持ちにさせます。子供は世の中の仕組みを知らないけど、それを一つずつ経験して大人になります。その過程が楽しかったりする。それはなぜかというと、やることなすことすべてが初めての経験で新鮮だからです。

大人になると初めての体験というのが少なくなって人生が退屈になります。だからファンタジー作品のような、ルールが全く分からない初体験が連続する物語は面白いです。これは『千と千尋の神隠し』とよく似ていますね。実際、『君どう』を見ていて少年版『千と千尋の神隠し』だなと感じてました。

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【夏子、キリコ、久子、ヒミ】

んで、いっきに飛ばすけど、不思議な世界では夏子は産屋のような場所で寝てました。この不思議な世界は「地獄」と呼ばれていたけど、死者が訪れる場所、または生命が生まれる直前の場所なんでしょう。

眞人の新しい母親・夏子は妊娠してたけど、出産によって生死をさまよっていたんじゃないだろうか?また、義理の息子との上手くいかない仲、亡くなった姉の存在によって苦しんでいたかもしれない。そういったことで、夏子はこの世界に迷い込んだのかもしれない。明らかに死に近い存在でした。

そしてこの場にいたヒミという火を使う謎の少女は夏子のことを妹と呼んでいたので、その正体は夏子の姉であり、眞人の母親である久子だと判明しました。そしてこの世界に来た眞人を最初に助けた女性がお手伝いさんのキリコだったらしく、このへんは混乱してました笑。のちのち分かったけど、昔に久子はキリコと共にこの世界に迷い込んだんですね。キリコと一緒だったということが描かれていたかは覚えてないけど、のちに明らかになったような気もする。

【本を読むことよりも大切なこと】

で、その後に出てきたこの不思議な世界を作った人物が現れて、その正体はその昔、本を読み過ぎておかしくなってしまい行方不明になった眞人の祖先でした。この伏線回収にはスッキリしましたね。薄々わかっていたことですが。

この大叔父さんの設定で感じたのは、本を読み過ぎて不思議な世界を作ってしまうって現実にも言えることかもしれないなと。本で知識を蓄えて自分の世界を作ることよりも、外の世界に出て他人と触れ合うことが大事。そういうことがこの『君どう』が伝えたかったことの一つかもしれません(たぶん違う)。

んで、まあ、その大叔父さんの代わりができるのは同じ一族だけらしく、眞人が継ぐことを求められるけど、眞人は自分でつけた頭の傷を指して「これが僕の悪意だ」と言って拒否しました。

この意味があんまりわからない笑。他の人のレビューを読むと、小説版『君どう』では「すべての人は友達になって幸せな世界を築からなければいけない」みたいなメッセージで最後を締めているらしく、それに対して宮崎版『君どう』は「自分の中にある悪意を含めた世の中の悪意を認めて生きていく」っていうメッセージなのかなあって感じた。よくわからん…。このへんはもう一回見ないと分からん。

【キリコ、どこ行った?】

んで、眞人ちゃんが世界の管理を断ったので、世界が崩れていきます。その中で、眞人と義理の母・夏子は同じ扉から、ヒミ(眞人の実母)とキリコは別の扉から出ます。

これは眞人の実母・久子(ヒミ)が現実世界で幼かった時にこの世界に迷い込んでしまったから過去につながる扉で帰らなくてはいけないってことなんだけど「なんでキリコも?」って思いました。

これってつまり、久子と一緒に当時の若きお手伝いさんのキリコも不思議な世界に入っていたってことなんですね。だから現代のキリコは眞人が不思議な世界と繋がってる建物や、現実世界で眞人がつかんだ木刀が突然崩れたことに対しても驚かず何か知ってる風だったんですね。気づかなかったけど、その伏線が回収されてスッキリしました笑。

そうなると、さらなる謎があって、眞人と一緒に不思議の世界に入った現代のキリコはどこに行ったのでしょう笑?不思議な世界のキリコと同一化しちゃったんですかね?謎です。

【『君どう』の評価は60点】

そんな感じで、眞人と夏子は不思議な世界から抜け出せてハッピーエンドで終わりました!キリコRIP。まあ結局は『千と千尋の神隠し』と同じで、「不思議な世界に迷い込んだ少年少女が成長する物語」でしたね。普通に面白かったと思いますが、『風立ちぬ』の方が面白かったし、過去の宮崎駿作品の中では1番面白くなかった気がします。それでも、まあまあ面白かったのですが。

他の人の感想をSNSとかで見ると「最高!」「感動した!」っていう投稿があるんだけど、「これで感動するか?」って思いました。失礼!

【アニメーションがすごいとか、マジどうでもいいに近い】

んで、アニメ関係者とか業界関係者を含めて「アニメーションがすごい!」とか言ってるんだけど「はぁ?」って感じです。他のアニメとか、実写映画とかでも「アニメーションがすごい」とか「演技がすごい!」としか言わない人がいるんだけど、正直そんなものは1番に語るものではないと思っています。

物語、作品で1番重要なのは「脚本」であり「ストーリー」です。ストーリーが面白くなければどんなにアニメーションが良くても、どんなに役者の演技が良くても、その作品の評価は高くならないはずです。作品の良し悪しの99%はストーリで決まります。

で、『君どう』はどうだったかと言うと、すごいよかったというわけでもなく、普通に良かったなぁくらいです。点数をつけるなら「最後まで見れた」を50点とすれば、「まぁまぁよかった」の60点だと思います。まぁ作品の評価は人それぞれなので皆さんが自由に評価すればいいと思います。

で、事前の宣伝を全くしてこなかった『君どう』が興行成績的に成功するかは分かりません。今後明らかになるでしょう。ただ、宮崎駿監督作品が公開されることを知らない人もいたようだし、タイトルの『君たちはどう生きるか』という説教っぽいタイトル(笑)がわずらわしいので敬遠される可能性はあると思います。

 

【宮崎監督、本当にありがとうございました!】

それでも、宮崎駿監督の最後の作品としては良かったのではないでしょうか?少なくとも悪くはなかったと思います。前のブログ記事でも書きましたが、『君どう』は『千と千尋の神隠し』と『風立ちぬ』を合わせたような作品でした。

僕は宮崎駿監督は『風立ちぬ』のようなリアルな人間関係の物語を作りたかったんじゃないかと予想してます。だけど、その自分の欲望を押し殺して、ジブリファンを含めたみんなが好きなファンタジーを入れたんじゃないかなと思えました。これは勝手な想像ですが、そう考えると宮崎駿監督からの贈り物のように思えました。しかも最後の贈り物です。そう思いながらエンドロールを見ていると、なんだかジーンと胸がポカポカしました。ポカポカ。

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僕の想像が当たっているかはどうでもいいとして、宮崎駿監督には本当に感謝したいです。僕を含めて多くの人に大きな感動を与える作品をたくさん作ってくれました。本当にありがとうございます。そしてお疲れ様でした。アニメの制作はこれが最後かもしれないけど、空いた時間に気ままに漫画とか書いて発表してくれたら嬉しいなと思います。本当にお疲れ様でした。

【事前情報がないからエンドロールが楽しい!】

そして最後に書いておかなければいけないのは、エンドロールについてです。事前の情報が全くないので声の出演が誰になるのかもわかりませんでした。そんなことすっかり忘れていたので、エンドロールが流れ始めた時、「そういえば声は誰が担当してるんだろう?」と思い注目して眺めていたらビックリしました!声優陣の一覧はこちらです↓

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噂されていた木村拓哉さんが入っているし、豪華なメンツ、そして滝沢カレンさんやあいみょんさんという意外なメンツには驚きました!無神経の僕は見ていた時にはその声に全く気づきませんでした。

そして公開日当日になった0時の瞬間、『君どう』のハッシュタグに絵文字が付き、そして「#米津玄師」というハッシュタグにも『君どう』の絵文字が付き、これは米津玄師さんが主題歌を担当するという公式のネタバレが発射されました笑。結局、主題歌は米津玄師さんの「地球儀」という曲だったそうです。

また、エンドロールの中に参加したアニメ制作会社の名前が入っていて、「STUDIO4℃」の名前がありました。この会社は有名な会社なんだけど、公式の説明によると

"「となりのトトロ」「魔女の宅急便」(宮崎駿監督)のラインプロデューサーを務めた田中栄子が主宰する精鋭クリエイティブ集団"

らしく、その経緯を見るとジブリとも関係があり面白いです。それ貼っておきます。

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ってことで、エンドロールでも驚きがたくさんあって、事前情報なしのメリットを体験することができました。前に記事でも書いたけど、事前情報がない状態で作品を楽しむのが1番良い味わい方だと思います。事前情報なしについてはこちらの記事を読んでください。

shoichi-abe.hatenablog.com

【追記】

そういえば『君どう』はジブリ自身を描いているという意見があってなるほどなと思った。鈴木敏夫さんも「それいいね!」って感じでノリそうだしw ジブリ自身を描いているとすれば、不思議な世界を作った大叔父さまは宮崎駿監督自身、不思議の世界はジブリに対する現実世界。宮崎駿が後継者を見つけられなかったのでジブリの世界は崩壊する。って考えると面白いですね!

 

と言うことで、ジブリ新作であり、宮崎駿監督の最後の作品になるであろう『君たちはどう生きるか』のネタバレあり感想でした。

ぶっちゃけ、ジブリは後継者となる監督が育ってないのでへ宮崎駿監督がいないのならば、アニメ制作会社としてのジブリは存在価値がなくなるんじゃないかと思っています。しかしジブリは過去作品の評価が高く、ジブリパークなどアミューズメント施設の運営もしており、完全になくなるとは思えません。その辺もすでにまとめてあるので記事を書いてきたいと思っています。

てことで、今回はここで終りにします。ここまで呼んでいただいて、ありがとうございました。

おわり。