阿部将一のブログ

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アニメ『チェンソーマン』を作るMAPPA代表取締役・大塚学さんのインタビューを読んで

先日、アニメ『チェンソーマン』の第1話が放送され、国内外で話題となっています。僕は原作漫画を読んでいるのだけど、アニメの質の高さに完全に虜になり、恋してしまいました笑。さすがのMAPPAさん(制作会社)です。

僕が感じたアニメ『チェンソーマン』第1話のすごさはこちら!

shoichi-abe.hatenablog.com

MAPPAは戦争を描いたアニメ『この世界の片隅に』を制作するために作られた会社らしく、その後、『進撃の巨人』や『呪術廻戦』という超大作のアニメ制作を担当し、Netflixと『YASUKE』という織田信長の家臣になった実在した黒人男性のアニメを制作しています。

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僕はこのMAPPAが制作した『進撃の巨人』と『呪術廻戦』にすごく感動したので、MAPPAにはすごく興味があります。他のアニメ制作会社とは少し違うような気がします。作画の質は当然ですが、表現方法とか挿入曲の選曲とか。いわゆるセンスが高いと思います。

で、そんな中、MAPPA代表取締役・大塚学さんの面白い記事を見つけました!エンターテイメント企業「FIREBUG」の代表取締役CEO・佐藤詳悟さんとの対談記事なんだけど、学びが非常に多い記事でした!

realsound.jp

“大塚:原作モノとオリジナルの一番の違いは「お客様がどういう状態であるのか」ということです。原作ものだったら、最初から原作のファンがいるので、既存のファンにしっかりと応えつつ、新規のファンも開拓していくことが求められます。オリジナルアニメに関しては、ゼロからお客様を作らなければならないので、どういうアプローチができるかを考えながら制作に取り組んでいますね”

“大塚:「簡単にヒットする方程式」はないわけで。原作の段階で人気のあるモノの映像化がいつまでヒットし続けるかわからないですし、高校生の青春映画を作ってもヒットするかは読めない。一番大事なのは、時代感を反映できているかどうか。それを確認するためには、いろんな角度からアプローチしなくてはいけなくて。”

大塚さんの珠玉の言葉が並びます。

“大塚:MAPPAの場合は、さまざまなジャンルのアニメーションを手がけていますが、海外のアニメ好きの方には、まさにダークファンタジーがストレートに刺さりますので、その点は意識しています。”

僕は、日本アニメを見る外国人TouTuberのリアクション動画を見るのが好きで、150チャンネルくらいチャンネル登録しています。彼らの中にはもともとアニメオタクだった人も多いけど、アニメを見てこなかった人も多いです。なので、日本アニメが海外の人たちを虜にするコンテンツであるという可能性を強く感じています。

shoichi-abe.hatenablog.com

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“大塚:そうですね。いまほどアニメは一般には浸透していなくて。テレビの放送枠でも完全に深夜に追いやれていたというか。OVA(オリジナルビデオアニメ)等のパッケージビジネスも成立していて、パッケージを買うファンと、レンタルショップでDVDやビデオを借りるアニメファンが業界を支えているような構造だったと思います。その反面、大きなグローバルなビジネス展開はほとんどなかったので、いまと比べると制作の単価はすごく安かったと感じています。”

“大塚:テレビと配信の視聴割合は半々くらいになってきていますね。どちらかというと、若い世代は配信がメインになってきているのではないでしょうか。ただ、夜にアニメを観るという視聴習慣が根付いているので、深夜にアニメ放映をテレビで観る人も多いと思います。あとはテレビ放送と連動しやすいTwitterでのトレンドですね。いわゆるバズる瞬間は、多くの人に注目されるので、そういう意味だとテレビはまだまだ宣伝効果が強いなと。”

アニメ業界についてはよく知らない僕にとって、業界の構造を知れる説明で助かります。

“佐藤:ディズニーなどを研究していると、昔からファイナンスに強いCFOがいて。アメリカの制作会社は、だいたい作り手側と経営側がうまく分かれているように感じています。”

ディズニーってその作品ばかりが注目されるけど、実はその経営力もすごいなと思っています。

“『チェンソーマン』には100%出資し、リスクを背負っている”

アニメ『チェンソーマン』はMAPPAさんが100%出資しているらしく自由に作っているようです。この製作委員会を作らずに、アニメ制作会社だけで作品を作るのはとても珍しいことみたいです。MAPPA、攻めてます!

僕は日本アニメにはものすごい可能性が秘められていると思っています。海外ではアニメは子供が見るものだと思われていまが、逆に言えばアニメを見るようになる人が海外にはたくさんいるということで、まだまだブルーオーシャンです。日本アニメの目標は「打倒ハリウッド」で、HIPHOPのように「アニメを見ることはかっこいいこと」にしてほしいと思っています。

そのためにはまだまだ日本アニメの国際的なアピール力が弱いと感じています。その大きな要因は作品の著作権を出版社が持ち、製作委員会の存在によって動きが鈍い、動きが消極的になることだと推測しています。

paradigm-shift.co.jp

ところで、韓国は自国の文化のアピール力、輸出力がすごいですよね。K-POPアメリカのビルボードでランキング入りし、『イカゲーム』は世界中で話題になり、『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞を獲りました。それを真似しろとは言わないけど、日本はアニメに限らず韓国の輸出力を参考にした方がいいと思います。日本にはアニメや食材、労働力など、輸出できるコンテンツはたくさんあります。多くの日本人はそのことに気づいていないです。

僕は漫画で何をするのも出版社の了解がいるのではないかと推測しています。だから海外への展開が下手なのは出版社が原因なのではないかと思っています。日本はどのジャンルも内向きで、不効率で、新しいことをやりません。

一方、日本の漫画やアニメが独創的なのは出版社による編集力、そしてその文化と歴史だと思います。つまり原作をより良い作品にしているのは出版社です。なので、海外への展開力が弱いからと言って出版社を外してしまうと、作品自体が研ぎ澄まされないのではないか?また出版社が持つプラットフォーム力を生かすことができないと思っています。

そんな中、MAPPAの記事を読んで思ったのが、スタジオ主導の漫画・アニメ作りです。

www.oricon.co.jp

スタジオ主導でアニメを制作することによって自由に海外展開できるし、スタジオが手にする収益も大きくなり、アニメーターの現場環境も良くなる。しかし、アニメ制作会社がアニメの原作となる漫画の著作権を持つこと、編集力を持つことは可能なのか?

原作としての漫画をアニメ制作会社が募集して編集をして電子書籍や単行本で発売する。今まで出版社がやっていた編集力を切り離してアニメ制作会社が行う。能力ある編集者を雇ったり、独立している編集会社と組んだりすれば可能のような気がするんですけど、どうなんでしょ?とにかく、今の出版社の海外に向けたアピール力には問題があると思います。

↓こういうのが普通になってほしい!

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MAPPA・大塚さんの言葉です。

“大塚:日本とアメリカの制作会社で違うところは、スタートから大きくグローバルなビジネス展開を具体化できているところです。”

僕は日本の漫画・アニメ業界はもっと海外市場を見据えてビジネスをするべきだと思います。極端なことを言えば、日本の海外展開を最初から考えて作品を作るべきで、日本市場を無視しても良いくらいです。

例えば、電子書籍で最新話を世界同時配信するのは当たり前だし、その場合、漫画雑誌や単行本で描くことを考えた見開き絵なんかも考え直さなければならないですね。そんで、そういう海外展開やウェブ化を最初から考えているのが韓国や中国で人気の「ウェブトゥーン」かなと。

diamond.jp

やはり漫画やアニメにおいても中国や韓国は国際化、ウェブ化への抵抗がなく、漫画やアニメの作画力は日本とそれほどの差はないという声も聞きます。ただ僕は、日本の漫画・アニメが他国の追随を許さないほど優れているのはストーリーが優れているからだと思っていて、それは日本人の想像力や漫画の歴史によって築かれているものだと思います。

とはいえ、そのストーリーの質もいつかは他国の作品に抜かれてしまうかもしれません。なので、そうならないように、物語の質をより高め、作画力をより高める必要があります。奇抜なアイデアも必要かもしれません。そういった今の漫画・アニメ業界に必要なことをMAPPAがやっているように感じて、さらにMAPPAが好きになりました!

そして、日本の漫画・アニメには「世界のコンテンツ王に、俺はなる!」って感じになってほしいです!

 

おわり。