阿部将一のブログ

Twitterをメインでやっています!Twitter ID@shoichi_abe1024|Amazonアソシエイト・プログラム参加中!

『君たちはどう生きるか』の宣伝なし戦略が良いと思う理由

f:id:shoichi_abe1024:20230714025938j:image

今日は宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』の公開日だ。

そういえば、2週間前にこの作品について長文ツイートをした。ブログにも載せようとしていたのだが忘れていた笑。以下がそれっす。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』の公開が控えている。

宣伝を一切せず、絵も一切見せず、作品内容も不明のまま公開しようとしている。もしかしたら残り2週間で何かやるかもしれないが、とにかく、これほどの話題作、日本で最も期待される作品が宣伝なしというのが話題になっている。

これについて僕は最大限の評価をしたい。

まず、宣伝なしで公開するなんていう芸当ができるのはジブリとか、超絶人気タイトルくらいだろう。つまりブランド力がある作品だ。

プロデューサーの鈴木敏夫さんが今回の宣伝なし戦略を"スラムダンク方式"と言うように、映画版スラムダンクも事前の宣伝はSNSで少し行うくらいだった。

f:id:shoichi_abe1024:20230714032738j:image

スラムダンクは熱烈なファンが多く、映像化を望む人が多いブランド力のある作品だ。結果的には興行成績は138億円とメガヒットになった。

ただ、宣伝を少なくしたからこの数字になったとは思えない。もしかしたら従来の宣伝をしていたらもっと伸びていたかもしれない。それは分からないが、とにかく成功はした。興行的に。

f:id:shoichi_abe1024:20230714032940j:image

ただし、僕が考える成功とは興行成績だけに限らない。作品として良いか悪いかも成功の指標の一つだ。そりゃあ、ビジネスでやってるんだから興行成績が良い方が良いに決まってるけどね。

ポイントは、事前に内容・絵をほとんど明かさないことで映画館で見た時の感動が強くなることだと思う。

僕はアニメやドラマでよく思うんだけど、次回予告はいらないと思っている。なぜなら事前に内容や絵が分かってしまうことで最初に見た時の感動が薄れてしまうからだ。

ちなみに僕は作品を見る時に最初の感動をとても大事にしている。例えば、映画監督のクリストファー・ノーランが僕は大好きで彼の最新作は必ず見ようと思っているんだが、彼の最新作の予告編はなるべく見ない。事前情報を得たくない。映画館で見た時の最初の感動を強くしたいからだ。

f:id:shoichi_abe1024:20230714033122j:image(クリストファー・ノーラン作品の『ダークナイト』)


なので、アニメにしろ、映画にしろ、ドラマにしろ、作品は事前情報がない状態で見た方が良いと思う。たぶん、これはすべての人に当てはまる。よくよく考えてみると、テレビが生まれるより前の時代は予告が一切ない環境なんだから、映画や舞台が与える人々への感動はとてつもなく強かったんじゃないだろうかとも想像する。

f:id:shoichi_abe1024:20230714033250j:image
ちょっとここで次回予告について面白い事例を紹介したい。

一つ目は僕が大好きな作品である『進撃の巨人』のアニメ第三期12話の最後に流れた予告だ。

f:id:shoichi_abe1024:20230714033413j:image
この予告はエンディング中に突然流されたもので、18話のショッキングなシーンを切り抜いたものだ。その予告はこちら↓(1:15あたりから)

youtu.be

12話までしか見ていない視聴者からすると意味が全く分からないので混乱する。ちなみに『進撃の巨人』では未来を見ることができる能力も出てくるので、まるで視聴者がその能力によって未来の物語が見えているようにも思えて面白い。

この特殊なエンディングは好評で多くの人に衝撃を与えました。ただ、先の物語の絵を見てしまってるので、人によっては18話のそのシーンで衝撃が薄まってしまっている。なので、次回予告によって作品の感動少なくさせている事例でもあると思う。

f:id:shoichi_abe1024:20230714033620j:image
次回予告の面白い事例の2つ目は、新劇場版『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の予告(前作『破』の最後に流された次回予告)。エヴァを知らない人に簡単に説明すると、エヴァの新劇場版は1作目が序、2作目が破、3作目がQ、そして完結編がシンエヴァというタイトルになっている。

で、興味深いのが2作目の破の最後に流れた「次回作Qの予告」です。その予告のYouTubeのURLを貼っておきます。

youtu.be

これ何が興味深いというと、この予告のシーンが次回のQにほぼ出てこないんです笑。予告として成り立ってない笑!巷では「嘘予告」と呼ばれたりしていて、エヴァではよくあったりします(なんで?笑)。

なぜ監督の庵野秀明さんが嘘予告を使うのかはよく分かりませんが、完全な嘘予告って、つまりは事前情報がまったく無いことと似てるなって思うんです。事前の話とちゃうやんってなるんです。

f:id:shoichi_abe1024:20230714033911j:image
ちなみにこのQの嘘予告は破とQの間に起きた「空白の14年」に起きたことのダイジェストだと言われています。この空白の14年はエヴァが完結してもあんまり説明されていないため、貴重な情報となってます。エヴァを知らない人は「なんのこっちゃ?」と感じると思うけど、そういうことなんです。納得してください。

f:id:shoichi_abe1024:20230714034044j:image
大きく脱線しましたが、「事前情報がない方が作品から感じる感動が強い」ことを踏まえると、宮崎監督の最新作も宣伝が一切なく、事前情報がない状態なので、観客に与える感動はとてつもなく高いものになるんじゃないかなと思う(作品が面白い場合に限るがw)。

とはいえ、SNSで宣伝は少しはした方が良いかなと思うし、むしろ労力くらいしかコストがかからないSNSのみの宣伝は製作費のコストカットにもなる。作品を見てほしいターゲットが若ければ若いほど何かしらのSNSをやってるはずなので十分だ。そもそも、あらゆる世代が使っているYouTubeに流せばいい。

f:id:shoichi_abe1024:20230714034857j:image
それでも宮崎駿監督の最新作は公開まで宣伝なしで行ってもらいたい笑。もし宣伝なしで、作品が名作で、観客に強い感動を与え、リピーターが続出して興行成績としてもヒットしたら伝説の作品になり、宮崎駿監督の最後の作品に相応しいと思う。


おわり。